感謝の気持ちが薄れたとき、失敗という足音が近づいてくる。
継続は力なりというが、方針やスローガンも長く続いてこそ
はじめて血統となり、毛並みとなるのである。
自分の会社の中でどんなタイプが良貨なのか、どんなタイプが
悪貨なのか、働く人は敏感にかぎ分ける。
働かない空気が支配的であれば、ことさら働いて憎まれようとはしない。
大衆は居心地のよさをかぎわけ発見するのは、じつにうまいものだ。
5万円程度までの月給取りは金のために働き、7万円ぐらいの月給取り
になると、だんだん仕事中心型になり、10万円以上の月給取りになると
全く金以外の動機づけで働くようになる。
梁瀬自動車の梁瀬社長は、入社式で必ず自社の経営理念と経営方針
を一席ぶつ。30分ぐらいジュンジュンと説いたのち突然「ドアを開けろ」と
命じる。そして「これから10分間ドアを開けておくから、私の話したことに
共感できないものは出て行って欲しい。残念だがともに仕事をすることが
できないから、やめてもらわなければならぬ」と宣言するという。
松下幸之助氏もこれと同じ意味のことを言っている。
人によっては「それは結構なことですね、さっそくやってみましょう」
などといいながら、なんの手も打たない人がいる。
少しきびしい忠言をすると以後敬遠して近寄らない。
こういう経営者を見ていると、きっとそのあとつまずいている。
経営は伸ばそうとしても伸びない。伸びる時には伸びる。
伸びるべくして伸びるもの。
会社の経営は一朝一夕では完成しない。それを一刻も早く良い結果を
出そうとあせるところにかえって大きな落とし穴がある。
「時と友を見方にせよ」
