苦労は自分の甘さを知る機会。
「消費者金融事業のKSF(Key Success Factor:主要成功要因)は与信管理である」
「隣町にある個人営業の消費者ローン「Y金融」は、どんな顧客にも大金を貸し出す」
「Y金融」の成功はおぼつかないだろう。
“与信管理”がKSFになるのは、武富士やアコムなどの大手か、中堅業者くらいまでを
指しているものと思われる。これらの企業では、与信管理、すなわち貸し出す相手を
きちんとチェックすることにより、成功の度合いも変わってくるだろう。
一方、「Y金融」は個人営業の小規模業者なので、大手や中堅のKSFがそのまま
当てはまるとは限らない。小規模業者の場合は、与信管理以上に回収の能力
がきわめて大きなKSFになると言われている。
すなわち、与信管理をしなくても成功する可能性はある。
問題なのは、ステレオタイプのものの見方をいったんしてしまうと、その考えを
打ち消すような情報には目が向かず、その考えを強めるような情報にのみ
目を向けてしまいやすいことだ。これは、クリティカル・シンキングでは最も
避けなくてはならない落とし穴の一つだ。